見えないルーツ・父方祖母編1

fuji やっと書ける話

4月5日か6日には全部書き終わるといいなと思っています。

これもまた古い話です。

祖父の除籍簿を見た件より、前だったと思います。

私が8才まで一緒に暮らした、ブルーで囲った父方祖母のルーツのお話です。

kakeizu-sobo

ある夜、夢を見ました。

私は知らない景色を見ています。

そこには屋根付きの井戸がありました。そばで黒いワンピースの女性が泣いているようでした。

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どうしたのかな、と少し近づいてみると、ワンピースに見えたのはプルオーバーの着物みたいなものでした。パールのような珠をつないだネックレスをしています。40代ぐらいのがっしり目の体型の人です。

井戸の中を見ているようで見ていない目から、涙がこぼれています。

その人は涙をふくと、家の壁に増築したらしき小屋へ向かいました。

小屋の引き戸をゴトゴト開けると、中には農機具やわらの束、掃除道具がしまってありました。彼女は奥の壁に立てかけてあった鋤をのけると、質素な板壁を少し押して、横にずらしました。

奥には暗い空間がありました。彼女は木の箱から小さなランプを取り出し火を点けると、中へ入って行きました。中は暗くて細い通路になっています。家の中のどこかと、奥でつながっているようです。

彼女が壁に造り付けられた台の前で立ち止まります。

小さなお皿に油と芯が入っていて、それにランプの火を移します。

ぼんやりと明るくなって、それが小さなお社みたいなものだとわかりました。お社の屋根を取った感じです。御札が何枚か貼られています。

真ん中の額には漢字でなにか書いてあります。

薄暗い中でよくよく見てみると、「憑物主」と書いてあるような?(物は違う字かも)

ええっ?と思っているうちに、もう彼女はなにやら唱え始めていました。すると、お社からシュッ、シュッと煙のような塊が飛び出してどこかへ消えていきます。

衝撃的な光景でした。どうやら依頼を受けて、憑き物を飛ばし災いを起こす仕事のようです。

中年の女性はまた涙を流し始めましたが、やめようとはしません。苦しそうに唱え続けています。

私はつい、声に出して言ってしまいました。

「なんでそんなことしてんの!?」

すかさず、何もない空間から威圧的な男の声が聞こえてきました。

「イッキの子だからだ」

イッキ?イッキって誰?

頭の中にはっきりした映像が浮かびます。

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赤でも青でもない、濃いベージュの硬そうな肌。角もないけど人とは完全に違う。鬼だと直感しました。

これが父方の祖母、藤さんのルーツにあたる「イッキ」との出会いでした。

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