訳ありの島民たち・女子高生

mori0522 どうぶつの森

今から1年ちょっと前、島の案内所のたぬきちさんから電話がかかってきました。

「ちょっと案内所まで来てほしいだなも」

急いで行ってみると、知らない女の子がいました。なんかただならぬ雰囲気です。

「お願いです!この島に住まわせてください!」

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「ここで10島目なんです。今まで全部ダメだって言われて!行くところがないの!お願い、たぬきさん!」

「そう言われてもだなも… あなた未成年でしょ?親御さんの許可がないとだなも」

「うわーーーん」

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女の子はワンワンと大泣きし始めました。

「お、おねえさん!ここではアレだから、連れて帰って話を聞いてあげてちょうだい!」

「はい?わたしが!?」

このタヌキは面倒なことを丸投げする癖があるのです。やめてくれないかなぁ。でもまあ、泣いてる子を置いて帰るのも気が引けるし、一緒に案内所を出ました。

(しかし、この子、とんでもなくボロボロやな)

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汚れきったワンピースに、穴のあいたソックスとビーチサンダル。おまけに髪は大爆発。

「あなた名前は?」

「うわ〜〜〜〜ん」

「名前!」

「うっ、うっ、マリア」

マリアと名乗る子はポツポツと話し始めました。

中学の卒業式から家に帰ると、家財道具一式なくなってて、待てど暮らせ両親は帰って来なかった。携帯電話も通じない。途方に暮れていると、男性たちが差し押さえにやってきた。差し押さえ?ナニソレ?要するにパパとママは借金を踏み倒して逃げたらしい。あたしを置いて!

「あたしも逃げなきゃ」

とっさにマリアはそう思ったらしい。

それで着の身着のまま、わずかな所持金で本島を脱出し、居場所を求めて野宿で島を渡り歩いていたという。でも、どの島も住ませてくれなかった。所持金も底をついた。

ある島の桟橋でボーッとしていたら、船がやってきた。

「その船のカッパのおじさんが、次の島まで送ってくれるって言ったの。それでこの島に着いたの」

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「オラがしてやれるのはここまでだ。案内所に行ってみな」

「うん、カッパさんありがとう」

「ぐっどらっく」

こんな感じでマリアは玉姫島にやってきました。

本人がどうしてもここに住むと言ってきかないので、たぬきちが関係各所との調整を頑張ってくれました。「痩せる思いだなも」とぼやきながらも、最終的に両親を捜し出して戸籍を分け、マリアが島にいられるようにしてくれました。

たまたまうちの隣が空き家だったので、マリアはそこに住むことになりました。

少し遅れて通信制の高校に入学し、そのころからスマホひとつでライブ配信とやらを始めました。少しすると広告収入が入りだし、そのお金で機材をいろいろ買い揃えていったみたいです。

今ではそこそこ人気の配信者みたいですよ。

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通信制高校で授業はほぼオンライン。制服はないのに、なぜかいつも制服を着ています。

「なあマリア、なんでいつも制服っぽいの、着てるん?」

「だって制服が似合う時期って、今だけでしょ?」

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「今が旬だし、自分でも似合ってると思うし、視聴者さんのウケもいいのよね〜」

「まあ、確かに似合ってるな」

「そうでしょ?ありがと♪」

はい!おねねに替わりまして、ここからはマリアがお届けします!

毎日の晩ごはんは、だいたいおねねの家で食べます!

手の込んだものはあんまりないけど、どれもとても美味しいんだよ。

何でも作ってもらえるだけで幸せ♡

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お腹がいっぱいになったら眠くなるから、、、

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ちょっとうたた寝して。気持ちいいのよね。

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温泉に入ってから帰るのです。

掛け流しって言うの?1日中湧いてて、すごくあったまる温泉です。

ここは島の女子全員が使えます。でも動物女子たちはあまり来ないかな。濡れるのがイヤなのかもね。

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ご飯もお風呂も、甘えすぎ!!って叱られそうだけど、そのかわりにこの温泉を掃除する約束だから。毎日だよ?けっこう広いから大変なんだよ?

でも、汗かくからサウナ効果でお肌ツルツルになるんだよね。一石二鳥って、こういうこと?

玉姫島は田舎だし遊ぶところもないけど、気に入ってるの。

インターネットでつながってるみんなも、リアルな周りの人たちも、どっちも大切に思うよ。

どこにいるのかよくわからない親より、すぐ近くの人を大切にしたほうが幸せみは深い。

この島に住みたいって頑張って良かったよ。あの時の自分をほめてあげたいです。

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みんなも玉姫島に遊びに来てね。

夢番地:DA-4620-8705-5400

※ハシゴなくても回れますが一応空港前に置いてます。お使いください。

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