こんにちは!マリアです。
みんな元気ですかーー?
あたしのこと覚えてる?玉姫島唯一の高校生だよ。
普段は静かなうちの島だけど、時々離島ツアーのお客さんがやってくるんです。
島には4部屋しかないホテルが1軒あるだけだから、花火大会や海のレジャーの時期は泊まるところがぜんぜん足りなくなるの。
だから、あたしたちの家の一部に宿泊できるようになってるの。民泊ってやつ?
マリアの家も元々宿泊施設っぽい造りだったから、ほぼそのままで民泊やってます。
こんなお部屋です。
ちょっとだけ個性的な部屋だけど、隠しカメラとか仕込んでないから安心して。
安心安全がモットーの民泊です。
バスルームもあるよ。
宿泊予約の窓口はおねえさんです。ネットで予約できるよ。
おねねは持ち前の勘でお客さんを決めるらしいよ。なんか変な感じがするときは、うまくお断りするんだって。
お客さんがあると、自分の部屋にしっかり鍵をかけて、まなみんの家か、おねねのところへ泊まりに行きます。
まなみんはマリアより5歳ほどお姉さんで、とても気の合う友達です。お家に行ってみるよ。
「まなみん、いる?」
「あ、マリアちゃん!一緒におやつ食べる?」
「おいしそ〜!なにそれ?」
「わかんない。コスプレ服のお客さんにもらったの」
「わからないけど、食べてるの??」
「うん♪おいしいよ」
まなみんはこんな人です。コスプレの衣装や、アイドルの服を受注製作しています。
「こんにちは、まなみです。アニメの服やステージ衣装を、ここで縫っています。
まなみね、ほんっとうに頭悪くて、学校の先生が何言ってるのかぜんぜんわからなかったの。だけど1時間じっと聞いてるふりして我慢して、6時間目までずっと我慢して、毎日その繰り返しで、すんごく辛かった。
高1の冬、親代わりに育ててくれたお婆ちゃんが亡くなって、それで学校辞めて、お婆ちゃんのミシンだけ持ってこの島に来たの。
今も使ってる古い方のミシンが、お婆ちゃんのだよ。
1日中ミシン踏んでるお婆ちゃんを思い出しながら、見様見真似で好きだったアニメの服を縫って、SNSに上げてみたのね。
そうしたら、自分のサイズに合わせて縫ってほしいという人が現れて、少しずつ増えていって、仕事と言ってもいいぐらい注文が来るようになったの」
「うちも民泊をやってるよ。こんな感じの」
「和の雰囲気がほっこりするでしょ?うちの場合は洋服の採寸や仮縫いのお客さんが主なんだけどね。みなさん来たついでに離島ツアーを楽しんで帰られます。
ネットがあれば受注やお客さんとのやり取りができるし、島にいても特に困ることはないです。
今、やりたいことだけやって生活できてるなんて、本当にウソみたい。基本的な生活費が少なくてすむ、この島だからできることだと思います」
まなみんの家の前には、昔の屋号のあんどんが今もあります。
ちなみにマリア宅の前は【桃源】です。おねねのところは【砂の城】で、カフェの名前です。
他のおうちの前にも、それぞれあります。
(おまけ)数日前の朝のこと。
朝日の中から現れる、、、
無駄にかっこいい魚政の息子。
シャギーーーン!!
その顔、やめれ。
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