祖母・藤さんは静かで不思議な感じの人でした。
古くて角がボロボロの小さな仏教の本を、よく読んでいたのが印象に残っています。
祖母は怪我が元で、少し体が不自由でした。小柄で娘時代は美人だったろうなと思います。なのにいつも、作ったような微笑みが顔に貼りついていました。子供ながらに、おばあちゃん何があったんかな、と思っていました。
祖母は私が8才の時に亡くなりました。それまで一緒に暮らしていましたが、ほとんど話した記憶はありません。
祖母が私と話すと、後で私が母親から怒られるので、話しかけないようにしてくれてたみたいです。母親は祖母のことが大嫌いでした。まあ、父のことも、父側の血縁者全員のことも嫌いでしたけど。
母親がよく言ってました。
「夜中に誰もいないのに、仏壇の前からお経読む声が聞こえる。おばあちゃんのせいや」
「この家はのろわれてる」(ちょっと違う)
当時住んでいた家は少し変わった家でした。家自体がどうこうではなくて、住んでる人たちがそうさせていたのだと思います。
仏壇のある和室には、次元のほころびのような場所がありました。なにもない空間にあって、時々移動もします。ほんの少し陽炎のようにユラユラしています。
そこから時々、何かが出たり入ったりしていたし、そこに触ると気持ち悪い頭痛が起きました。
想像ですが、そこは冥界的なところとつながってたんじゃないかなと思います。そのエネルギーがイッキと似てると感じたみたいです。意識の世界での「わかる」は理屈じゃないんですよね。説明が無理です。
そのような人たちと環境に囲まれて生まれ育った私は、物心ついたときから、「死ぬとどうなる?死んだらどこ行く?」とず〜っと考えてる子供でした。母親の虐待もずっとあったからでしょうか。ニコニコしている写真は1枚もありません。
イッキと出会ったころはまだ、祖母が外からお嫁にきたのだと信じて疑っていませんでした。だから、祖父につながるのだと思っていました。でも、どうにもスッキリしなくて気持ち悪い違和感がありました。
そのころ、私の現実はひどいものでした。病気とケガが次々とやって来ました。仕事なんて行ける状態ではないのに、治療費はどんどん出ていきました。もし治っても一生廃人かもしれない。まさにドン底。生きる気力なく、太陽さえも黒く見えました。
今なら、望まないこれら全部、自ら現実化してたんだとわかります。当時はその日1日を生き延びるのが精一杯で、そんなことカケラも考えませんでした。
時は経ち、元通りとはいかないけど、何とか回復しました。その後、祖父は養子で、祖母こそがイッキとつながってるとわかりました。それならすごくスッキリと納得です。
そこからの展開がまた、なかなかなものでした。
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