消えちゃった人

240628 日々のこと

先日、鍼灸治療へ行くため電車に乗っていました。

通勤通学の混み合う時間帯ではなかったので、席が結構空いていました。

ロングシートに腰掛けると、前の景色が目に入ります(そらそうでしょうよ)

向かいのシートでは、端に若い男性が座ってスマホを見ていました。

すぐ横のドアの前には、70歳前後ぐらいのほっそりした女性が立っていました。

体型とファッションから、そのぐらいの年代に見えました。

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白い細めのパンツに薄紫のチュニック。薄いピンクの帽子と、その年代の人が持ってそうなリュックを背負っていました。

(こんなに空いてるのに、座らないのかな?)

ちょっとそう思いましたが、見たい景色があるのかもしれませんからね。特におかしくはありません。

電車が私の降りる駅に停ると、その女性も先頭で下車しました。

すぐそばにエスカレーターがあったので、下車した人々は揃ってそちらの方へ歩き出しました。

先頭にその女性が乗って、すぐ後ろに大学生ぐらいの女性が乗って、そのまたすぐ後ろに私が乗りました。

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ふたり前にドア前の女性がいるなぁ、と何となく認識しつつ、一瞬下へ視線を外しました。

すぐまた前を見ると、もうドア前の女性はいませんでした。

エスカレーターの降り口は、まだまだです。

(!??)

思わずエスカレーターの左側を急いで上がって、あの女性を探しました。

四方八方ぐるっと見たけど、そんな人はどこにもいません。

(どーゆーこと?)

キョロキョロ、アセアセ周りを見ている私のほうが、むしろ不審者です。

(消えたな)

そう、そういえば、社内でずっと同じポーズのまま立ってたよな。

一度も顔を見ていない。電車から降りる時も、エスカレーターに乗る時も、顔を見た気がしない。

一瞬でエスカレーターをダッシュで駆け上がり、改札を駆け抜けた、またはトイレに駆け込んだとは考えにくい。なぜならどちらもそこそこ距離があるから。年齢的にも無理だと思う。

だとすると、久しぶりに見たな。この世の人ではない人を。

最初の方に感じた微かな違和感は、それだったのかもしれません。

エスカレーターで私の前に立っていた若い女性には、見えてなかったのかも。たぶんですけど。

本当に久しぶりでした。顔を見せないのは、顔を見せるとバレちゃう確率が高くなるからかな。

ちょっとした、消えてしまった人のお話でした。

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