愛宕さん千日詣りで

240910 日々のこと

京都の愛宕山にある愛宕神社では、「千日詣り」があり、かつては7月31日の夜から8月1日の早朝にかけて夜間参拝ができました。その日の夜の参拝は千日分の火伏せのご利益があるそうです。

ただし2024年は諸般の事情により、7月23日から8月1日までの昼間に参拝期間が変更されたそうです。来年はどうなるんでしょうね。

私が初の千日詣りに伺ったのは、かなり前です。10年ぐらい前かな?ちょうど膝を怪我してた時でした。足元も暗くなるし、ダメ元で引き返す覚悟で、ゆっくり登ろうと決めて向かいました。

なんせ山ですから。ちょっとした登山なのです。特にへっぽこの私にとってはもう大変。

鳥居本で気を引き締めて石段を登り始めたら、後ろから来た元気なばあばに追い抜かされました。かなり細身のばあばが、木の杖を両手に器用に使いながら、あっという間に視界から消えていきました。

うっそ〜!いやいや、膝を痛めてるんだから、ゆっくりマイペースで…

すると今度は子どもたちが石段を駆け上がっていきました。子どもの体力、すごいですね。

陽はもうとっぷり暮れて、千日詣りのために設置してくださってる小さな明かりと、小さな懐中電灯だけが頼りです。すれ違う人と交わす挨拶も息切れでままなりません。

ヒーヒー言いながら登っていくと急に空気が変わって、神社が近いとわかりました。なんとか登り切り、御神事が終わり、山を下るために少しゆっくり休んだと思います。

空が白み始めたら下山です。それはもう下りはめっちゃキツかった。脚の関節が全部外れるかと思いました(へっぽこ)

バス乗り場についた頃にはすっかり明るくなっていました。そこで臨時バスを待つ列に並びました。寝てないし体はガタガタで疲れ果ててました。みんな地面に座り込んで待ってるので、私もへたり込みました。

ふと横に座ってる男性の方を見ました。4、50代の短髪の人です。その人は山伏のような格好をしていました。

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でもフル装備ではなくて、前頭部の黒いカップみたいなのと、ポンポン付きのサスペンダーみたいなのだけ付けてました。

他は白いハーフパンツと白い長めのソックス、白Tシャツだったように思います。

くたくたの私はつい話しかけてしまいました。

「山伏さんですか?」

一瞬の間をおいて、男性は言いました。

「いえ、違いますよ」

えっ?なんで?もう一度聞いてみました。

「山伏さん、ですよね?」

すると少し笑いを噛み殺したような表情で、こうおっしゃいました。

「違いますが…」

(なんでなん!?わかりやすいもん付けてるやん!山伏って隠さなあかんことなん?)

そう心の中でつっこみながら、男性から視線を外して、すぐにもう一度見たら、もう山伏装束はありませんでした。

(この一瞬で外せるかーーー???)

徹夜明けの変なテンションで、なんかもうどうでも良くなって、笑いがこみ上げてきました。

ひとりでクッククック笑ってたら、その人もちょっとニヤニヤ笑ってました。

その後、バスのシートに座ってからの記憶がありません。寝たんだと思います。

これってたぶん疲れの限界で、体の目で見えるものと、違う方の目で見てるものの区別がついてなかったんだと思います。

すごくしんどかったけど、あの時がんばって登っておいて良かったです。今となっては、もう二度と登れそうにありませんから。

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